• テキストサイズ

イロイロ【気象系BL】

第1章 おとぎのくにの



自己紹介が終わると、お茶会の会場であるサロンへ移動した。

庭に面したサロンからは、綺麗に咲き誇る花々がよく見える。

それぞれ席に着いたが、カズは座らずに私の後ろに控えるように立った。

そんなカズをジュンさまが不思議そうに見る。

「どうして座らないのですか?」
「まだお名前も伺ってません。サトさまの妹君···ではないですよね?」

ショウさまもじっとカズを見つめる。
私に妹がいないことはご存知らしい。

注目を集めてしまったカズが困ったように私を見るから、にっこりと頷いてやった。

それで腹を括ったのか

「侍女のカズと申します。私のような身分のものがこの場に立つご無礼をお許しください」

カズはとても侍女には見えない優雅な仕草で頭を下げた。

「侍女なの?お姫さまみたいに綺麗なのに?」

まっすぐカズを見つめていたジュンさまが驚いた顔で呟くと、カズは真っ赤になった。

大切なカズを褒めてもらえて私が嬉しくなる。

「カズは私の侍女ですが、本当の妹みたいに思っているんです」
「そうよ。私だって実の娘みたいに思っているのだから、自分のことをそんな風に言わないで」
「サトさま···奥さま···」

カズが目を潤ませる。

「さぁ、カズちゃんも座って!私は可愛いサトちゃんとカズちゃんに会いに来たのよ。カズちゃんともお茶を飲みたいの」

王妃さまにそう言われてしまったらカズには断れない。

私の隣の席に控えめにそっと腰掛けた。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp