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滅びた世界で貪る愛は果実の味がする

第1章 半透明の君


世界が滅びた、滅ぼした。この世界は、俺に意地悪だから。
天の助が俺を見つめる。血まみれの俺が恐ろしいのだろうか。少しばかり悲しくなって、憂さ晴らしに人間のメスを殺してこようかと踵を返す。すると、天の助は俺の手を掴んだ。綺麗な半透明の水色の手が、赤黒い血に汚れることも厭わずに。
「天の助、やめな。俺が怖いんだろ。……汚れちゃうよ?」
「怖く、なんかない。オレはお前になら、酷いことされたって良い」
「酷いことって?君のお腹の中に、電動ミキサーを入れてぐちゃぐちゃにレイプするとか?」
「っ!?」
「天の助、レイプされたことある?あれって結構屈辱だし痛いぜ。俺は俺を苛めた屑共を、全員ぶち殺したけどさ」
怖いだろう、と、俺が言う。此処で天の助が「雪彦が怖い」と言ったら……俺は本当に天の助を----それこそ俺の赤ちゃんを生んでくれるまでレイプしていた。天の助は俺と同性の男だから、赤ちゃんを産めないことは知っている----つまり俺は、俺が死ぬまで一生、天の助をレイプしようと考えていた。
だが、天の助は「怖い」と言わなかった。綺麗な二つの目から涙を流して、俺にキスさえしてくれた。
「雪彦になら、されても良い。雪彦はたくさん痛い思いしたから、オレにも痛いことして良い。電動ミキサーで、お腹の中ぐちゃぐちゃにされても良い。だから……そんな悲しい顔、しないでくれ」
天の助は自分のカバンから鏡を出して、俺の顔を映してくれる。
「……へぇ。涙なんて、枯れ果てたと思ってたのに」
無表情の顔の中、涙腺だけが涙を吐き出して、不気味な光景だろうに。天の助はぬのハンカチで俺の顔を拭いてくれた。俺は天の助を抱き寄せ、乱暴にキスをする。冷たくて柔らかい口の中を、舌でかき混ぜる。俺より頭一つ分は背の低い天の助は俺にキスをされる間、爪先立ちをしてなくちゃいけなくて柔らかい体は苦しそうに震えていた。唇を離せば、天の助の口の中は俺の所為でぐちゃぐちゃに壊れてしまっていた。
「もう、絶対に離してあげないよ」
天の助は、う、う、と壊れた口で呻いて、こくんと頷いでくれた。その様子に興奮してしまい、二回目のキスをしようと思った。でも、此処だと生き残った人間達に見られる可能性がある。天の助を見て良いのは俺だけだ。醜い独占欲を剥き出しのまま、俺は天の助を連れ、森の中へと姿を消した。
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