第1章 時化る日のノラたち
「なんか…顔色悪くないですか?」
ひよりから発せられた言葉の直接、夜トは項らへんに激痛が走った。
刺されたのだ。
「わっ、わ!?」
夜トはひよりに体重をかけるようにして前屈みになる。
だいぶ辛そうだ、と思ったひよりはふとコンビニのレジの前に居た少年に目を向けた。
ま、まさか、雪音くんが!?
ひよりは一筋の汗を額から流した。
「雪音ぇ…」
前屈みになった状態の夜トが少年、雪音の方に振り向く。
「なにやった」
夜トがそう問いただしすと、雪音は「は?」と、少し目を開き、いつもどうりな声を出した。
「ちっ…」
夜トはひよりの腕から抜け出し、レジの方に一歩を大きくふみだした。
ガシャッという音と共にレジの金銭が入った引き出しを開いた。
「……」
なんの変化もないソコに、夜トは言葉を失う。
その様子を見ていた雪音が口を開く。
「…まさかオレが金盗ったとでも思ったのか?」
雪音は夜トを睨む。
そして酷く冷たく言葉を吐き出した。
「マジかよ…神様にまで見限られてんだ、オレ」
そして着ているジャンバーのポケットに両手をつっこみ、嘲笑的に笑う。
「はっ…やっぱ死んで正解だったんだ…」
彼の言葉は鋭く、トゲがあったが、
…………寂しさも混じっていた。