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魔法の下着屋さん

第4章 甘美な檻


「どこ行くんかなぁ」

耳に飛び込んできた声に身体が強ばった。
あと半歩で完全に店から出られるというサラの身体がぴたりと止まった。
扉の内側に僅かに残った左手を、白石の手が強く握っていた。

「あ……あ……」

サラの顔から血の気がさっと失せ、色を失った唇がはくはくと震えた。

「最近だいぶ大人しなったから、どうかなぁ思てちょっと試したら……ほんま、悪い子や」

その声の低さに、強い怒りが表れている。サラの身体は恐怖にガタガタと震え、一歩も動かなかった。

「な、なんで…あ、……わざとなの…?」

握られた手が痛くて、白石が怖くて、全て仕組まれただけなのが悔しくて……何よりこの後のことが恐ろしくて、ぼろぼろと涙が零れた。

「せやからそう言うてるやろ。こんだけ可愛がっても分からんのやったら、身体に教えたらなあかんなぁ?」

怒りに燃えた白石の瞳がすっと細められ、心底嬉しそうな笑顔を浮かべた。

「せっかく人が今まで優しく優しく抱いてきたったのに……そんな悪いサラにはもう遠慮なんかいらんなぁ?」
「ひっ…ご、ごめんなさ……あっ、だれかったすけっ………」



握られた手が強く引かれ、半分店外に出ていたサラの身体が扉の中に消えていく。
カラン、と軽やかな音を立てて閉じられた扉は、二度と開くことはなかった。
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