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【進撃の巨人】団長様と眠り姫

第2章 目覚め




「ぐぇっ……」


なになになに。ぐっすりと眠っていると腹部に乗せていた本越し鈍器のような何かが当たった感覚。
上記のような気持ち悪い声を上げるとソファから落ちた。……痛い、床に頭をぶつけた。この事も含めて此処に居た人間に文句を付けてやろう。
勿論、しっかりと目が覚めてからだが。
"ぅ、う"なんて死にかけの兵士みたいな声を上げながら顔を上げようとすると上の方から


「大丈夫か!?…意識はあるか?」


焦りを含んだ男の声がした。
それを聞いた私は


「あ…?意識が飛ぶどころか寧ろ目が覚めたわ……。」


と小声で呟きながら悪態をつく。一体どこの誰が本なんてものを落としちゃってくれたんだ。続けてため息をつくと頭を抑えながらゆっくりと顔を上げた。


「……へ…?」


なんということだろうか、視界に入ったのは澄んだ青い瞳と色素の薄い金髪。
私はこの顔を持つ人間を知っている。自分の所属している調査兵団の分隊長である。ふと先程までのふてぶてしい態度が走馬灯の様に蘇った。"やばい。これは非常にやばい。" それだけに限る。
あの厳格な分隊長様の逆鱗に触れた暁には首が飛ぶだろう。


「すまない。頭を抑えているところ、そこに本を落としてしまったのか、見せてくれ。」


眉を下げ謝罪をすると、あろう事かその手を伸ばし私の頭へ添える。そして撫でながらこぶの位置を確かめているようだ。


「いやっ、その…頭はソファから落ちた時に床にぶつけただけで…」


頭を撫でられる気恥しさからか、それとも上官に迷惑をかけてしまった罪悪感からか、頭に乗せられた彼の手を優しく払った。


「いや、そうであっても怪我をさせてしまった原因を間接的に作ったのは私だ。詫びさせて欲しい。」


首が飛ぶ事は無さそうだがこれはこれでとんでもない状況だ。
さすがにこのような状況に置かれてなお、居眠りをかませるほど私も睡眠不足ではない。しかし、今この瞬間の状況を完璧に理解しきれるほど目が覚めていたわけではなかった。
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