第10章 光秀の思惑
天守へと戻り、アヤを褥へと降ろし、アヤの寝顔を見ながら昨夜の事を思い出した。
宴会が終わり、信長は天守へと戻ってきた。
酔って先に宴会を後にしたアヤは、お酒のせいか、少し息苦しそうに褥に横になって寝ている。
「フッ、酔って寝ていては、抱けぬな」
独り言を言いながら、信長はアヤを胸に抱き寄せ褥に横たわった。
アヤの髪を梳きながら、おでこに口づける。
一人の女をこれほど愛おしいと思うとは、信長自身も思っていなかった程、アヤに心を奪われている自分がいる。
夜毎この腕の中に閉じ込め、口づけ抱きしめても、アヤへの熱は熱くなるばかりだった。
「だが、今宵は寝かせてやる」
そう言いながら、軽く口づけを落とした時、
「んっ、信長様?」
アヤが目を開けた。
「何だ、そのまま眠った方が貴様の為だぞ」
言葉とは反対に、優しくアヤの目を閉じようと手を当てると、
「信長様」
ギュッとその手をアヤが握り返して、口づけた。
「アヤ、貴様?」
普段のアヤからは考えられない行為に、信長はアヤの顔を見る。
よく見ると、アヤは少し苦しそうに浅い呼吸を繰り返し、目の焦点があっていない。
「信長様、好き」
アヤは掠れた声で囁くと、信長の胸に口づけた。