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【ONE PIECE】トラファルガー・ローに愛されて。

第7章 花影。


シェリルside
*  *  *  *


「……………、」


最初に見えたのは、天井。

見たことのない、知らない天井。
ふかふかのベッドの上に横になっている体。
特に、拘束されてはいない。

(………ここ、は…、?)


首を動かし、視線を横に向ける。

瞳孔が、ぐっ、と開くほど、私は息をのんだ。
見覚えがある、なんて、簡単な言葉では済まされない。
何度も、心の中で泣きながら、会いたい、と願っていた人………。

「…………ろ、ぉ…?」
「……………、」


小さく、静かな寝息。

椅子に座って、ベッドに突っ伏した、愛しい人。
こらえる事なんて出来ずに、私は溢れる感情を吐き出した。
頬を伝う、熱い、雫。
たった数年だけの歳月が、ここまで、彼の姿を変えてしまった。

「………あぁっ、うぅう……っ!!」
「……ァ……、?」


目が、合った。

彼は一瞬、呆気にとられた表情をしたが、すぐに笑顔がこぼれた。
上半身を起こしている私を、そっと包み込み、ぎゅっ、と抱きしめる。

「…………シェリルっ!!」
「…ぅ、あ…うわああ゛あぁああ゛あ゛…ッ」

深い悲しみと、寂しさと、から。

私が救われるのには、十分だった。
ローの泣きそうな笑顔と、優しい温もりだけで、十分だった。
部屋には、私の泣き声だけが響き、悲しみを吐き出し、洗い流した。

「……もう、傷つかなくて良いからな…、」
「う、うぅぅうう────っ!!」
「ずっと一緒だ、もう、放さねェ」



────愛してる、




その言葉だけで、十分、幸せ。

震える肩を、彼は再度、ぎゅっと抱く。
私の着ている服から、消えない烙印が、チラつく。
無理やり、左首筋に深く刻まれた、ドンキホーテ海賊団の証。


未だ、この身は縛られたまま───…。




─一生、可愛がってやるからなァ、シェリル…─
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