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沖矢昴はお兄ちゃん【名探偵コナンR18】

第5章 潜入デート





すると一際目立っている怪盗キッドのコスプレをしている男の子がこちらに歩いてきた。



「いらっしゃいませ、こちらの席へ。
さぁ、お手をどうぞ、レディ」



そう言って私の手を取り、席へ案内しようとする彼。



「すまないが、僕の彼女なので。
席へは僕と一緒に行かせてもらう」


安室さんはそう言って彼に取られた手を振りほどかれる。



「失礼しました、カップル特有のラブラブさが見えなかったもので、てっきりお友達なのかと」



「まだ付き合いたてなので、お互い緊張しているからですかね。
これからラブラブになるので、お気遣いなく」



「…では、こちらの席へどうぞ」


お互いに人の良さそうな笑みを浮かべているのに、何故だか挑発し合い、更には火花まで見えてきそうな2人のやり取りに疑問を覚えつつ、案内された席に座り、紅茶を2つ注文する。



「愛香はどこに行っても人気ですね」



『は、話が唐突過ぎて意味が分かりません。
それに透こそ、色んな女の子からの視線の嵐ですよ』



「それは素敵な彼女が隣に居るからですね、きっと」



『いっつも思いますけど、よくそんな甘々な台詞をポンポン言えますねっ、恥ずかしいです』



「好きな女性を口説くのに精一杯ですからね」



そんなやり取りをしていると、先程の怪盗キッドコスの男の子が頼んだ商品を運びにきた。
テーブルに頼んだ紅茶2つと、ザッハトルテの乗ったお皿を1つ置く。



『え、このケーキ頼んでませんけど…』



「これは私からのサービスです。
それと美しいレディには、こちらも…」


そう言って目の前に差し出されたのは、当たり障りのない普通の紙ナプキン。
なんだこれ…と思う一瞬の間に真白な薔薇のミニブーケにと変わる。



『わぁっ…すごい…』



「貴方には深紅の薔薇より白が似合う。
またお会いしましょう」




手の甲にチュッと1つキスを残し、彼はバックヤードへと消えた。


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