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stride‼︎

第7章 贈り物


お店はこじんまりしているけど、美味しいロシア料理屋さん。
金曜日ということもあって店内は結構混んでいる。
小さな2人席に案内されて、適当に好きなものをたのむ。

グラスのビールを合わせ、チンと乾杯する。
「ベルギー行き、おめでとう!!」
「ありがとう!」

今日の仕事の話や、店に来た可愛い赤ちゃんの話をしていると、時間があっという間に過ぎてしまう。

食事を終えてトイレから帰ってくると、テーブルに小さな、でもフルーツがたくさんのったケーキがあった。

「あっこれ…。」

日々人がこっちを見てニコニコしている。
「改めて、ベルギー行きおめでとう。
がんばってね。」

嬉しくて涙がでてしまう。
「ありがとう。精一杯、がんばってくる…。」

「笑い上戸の次は泣き上戸だな。」
一粒こぼれた涙を日々人が親指で拭ってくれる。

ケーキには丁寧に蝋燭まで立ててある。
「ベルギー行きがうまくいきますように。」と願い事をして、蝋燭を一気に吹き消す。
ケーキは甘くてフルーツいっぱいですごく美味しかった。


明日もわたしは仕事だから、あまり長居せず店を出る。
お酒で火照った頬に外の空気が気持ちいい。

「わたし今、すごく幸せだよ。
今日はありがとう。」

上機嫌でくるくる回りながら先を歩くわたしを日々人が後ろからついてくる。
「ゆめ、あんまり回ってるとこけるよ。」
「だいじょうぶ〜。」
「ほら、酔ってるだろ。そのへんにしと…」

日々人が言いかけたその時、凍った地面で足が滑り、身体が宙に浮く。
ふわりと日々人の腕に受け止められる。
はー、とため息が頭上に聞こえる。
「もー、バカ。」
上を見上げると、日々人が怖い顔。
「ごめん、ありがとう。」

「ほんっとゆめは、俺といる時以外、お酒禁止!」
指で鼻を潰される。
「う…、はい。」

腕の中で上を向いたわたしにちゅ、とキスして
「その可愛い顔、他の男に見せたらダメ。」
と耳元で囁いて抱きしめる。

お酒のせいだけじゃなく、体が熱い。
日々人も大概酔ってるじゃん。と小さく言って、離れた日々人の唇を追いかけてキスをする。

一緒に暮らして、日々人への気持ちがさらに増した気がする。
好きすぎて胸が痛い。こんな気持ちになったのは人生で初めてだった。
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