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徒然なるままに【文豪ストレイドッグス】

第14章 社内会議


「ぷはぁ……」
「落ち着きました?」
「大分ね」

 太宰さんが云うのと同時に腹の虫がぐぅぅと鳴った。わたしではない。じゃあ太宰さんか。

「……お腹空いた……」
「ご飯作ってきますね。何が食べたいですか?」

 云いつつふぅ、とわたしは溜息を吐き、椅子から立ち上がった。

「そこで食べれる物じゃ無くて食べたい物聞いてくる所好き……」

 布団に埋もれながら太宰さんがそう呟いた。はいはい、と軽くあしらうと、「玉子粥食べたい……」と唸るような声が聞こえた。

「玉子粥ね、少し待ってて下さい」
「済まないね……」
「病人は寝てないと治りませんよ。直ぐ持って来ますね」

 わたしは医務室の扉を閉めた。給湯室に行って、少しの間台所を貸して貰えるよう事務の人達に頼む。太宰さんの食事を作る為と言えば皆さん快く貸してくれた。

「大変ですね、泉さん」

 準備をしていると、入社試験に協力してくれた春野さんが来た。わたしは苦笑いを零す。

「玉子粥食べたいって云うので……。ずっと会えなかったし、我儘聞いてあげたいなって」
「其れが善いですよ。太宰さん、ずっと飲まず食わずで」
「うーん罪悪感凄いなぁ……」

 はは、と笑い合いながらわたしは粥を手早く作る。出来上がった粥と茶碗、れんげをお盆に乗せる。

「貸して頂いて有難う御座いました」
「いえいえ。また何時でも言って下さいね」

 にこりと笑う事務員さん達に見送られ、わたしはお粥を持って医務室に向かった。
 コンコン、とノックをすると返事は無かった。太宰さん一人なのは判っているから名乗らずに扉を開ける。ベッド横の棚にお盆を置き、椅子に腰掛けた。

「……美味しそうな匂いがする」
「わ、太宰さん。起きない方がいいですよ……」
「大丈夫、大丈夫……」

 云いつつ彼の身体はふらりと揺れた。慌てて身体を支え、枕を彼の背中にあてがった。

「大丈夫じゃないですね」
「お粥食べさせてくれるかい……?」
「一人で食べさせたら零しちゃいますもんね。一寸待ってて」

 わたしは茶碗にお粥を移し、れんげで少量掬い取った。ふぅふぅとお粥を冷まし、太宰さんの口に運ぶ。

「はい、口開けて」
「あーん」

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