第1章 １ (裏なし)

―――憲兵団支部。


｢やっばぁ…寝坊した!｣

もう9時だ。
憲兵団の集まりが8時30分からあったのに。

黒の長髪を水で濡らして適当に寝癖をおさえる。

こういう時、全身に張り巡らせるベルトはうっとうしい。

―――だいたい、ここはウォール・シーナなんだから巨人なんて現れないっつの。


乱暴にジャケットを羽織って、私は部屋を飛び出した。