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《イケメン戦国》初恋〜運命の赤い糸〜

第15章 〜結実〜


祝詞奏上の後、三献の儀で
順番にそれぞれが、盃に注がれた
お神酒を飲みほした。
婚礼の儀を滞りなく終えると
飲めや歌えの祝いの宴が始まり
それと共に始まる大名達のヒソヒソ話。

ーーいやー、栞様も、雪、いや桜奈様も
眩いばかりのお美しさですなぁーー

ーーそうですな、まさか桜奈様が
家康殿の許嫁とは、全く知りません
でしたよ、てっきり信長様の正室候補
だとばかり思ってましたよーー

ーー私もですよ。家康殿になんとか
うちの娘を嫁にと、お願いしたことが
ありましたが、あっさり断られました。
今となっては、いくら可愛い娘でも
桜奈様の前では、霞んでしまう。
ご寵愛を受けられないのなら
断ってもらって良かったですよーー

ーー家康殿は、桜奈様にべた惚れ
だそうじゃからの、側室は持たぬ
勢いらしいーー

ーーわしでも、桜奈様が妻なら
そうするわな、はっはっはーー

ーーしかし、栞様もまた一段とお美しく
なられましたな、お披露目のときは
まだあどけなさがあったがーー

ーー信長様が、惚れるぐらいの姫君じゃ
きっと見た目だけでは、常人ではわからぬ
魅力がおありなのだろうのーー

ーーはっー誰か、うちの娘をもろうて下さる
方はおらぬかのう。お二人を見てると
わしも娘の花嫁姿が見とうなるなーー

正室は、無理ならせめて、側室にと
思っていた、年頃の娘を持つ大名
達も、自分ですら心を鷲掴みにされる
妻がいる男に、とても娘をやる気に
なるばすもなかった。

ただ、新郎新婦として、座っている
婚儀をあげたばかりの幸せそうな二組の夫婦。

この二組の夫婦それぞれの
絆の深さは、気配となって漂う。
二人の間に入れるものは誰もいないと。

生まれる前から夫婦になる約束が
交わされていた家康と桜奈。

五百年もの時を超えて結ばれた
信長と栞。

初めから結ばれることが
決まっていたかのようにさえ
思えてくる。

けれど、今日この日を迎える為に
乗り越えた、苦しみも悲しみも
計り知れないものがある。

相手の心が見えず不安に揺れ
相手を想えばこそ、すれ違い
ままならない自分の心に翻弄され
ままならない相手の心にかき乱される

それでも、この人でなければと
手繰り寄せ合い、求めあった想いは
今ここに、『結実』したのだ。
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