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【最遊記】金色の向日葵

第6章 勝負


『煙草を買いに行く』と言って出た筈の三蔵は八戒達の部屋に居た。

「おや、三蔵。」
「三蔵!!」

中から悟空が走り出してくる。黙ったまま三蔵はなかに入ってきた。

「うるせぇな、たく。」
「いきなり来てうるせぇは無いでしょう?三蔵サマ?」
「…雅から経緯は聞いた。」

悟浄の話は全く聞いていないかのように三蔵は中に入って行きドサリと椅子に座る。

「明日、遠慮はいらん。好きなように飲んで、思う存分楽しめば良い。」
「三蔵?」
「もちろん俺も参加させてもらう。」
「おやぁー?おやおやぁ?」
「…何だ。」
「三蔵さまぁ?雅の事、好きになっちゃった?」

そんな悟浄の言葉を聞き終わるが早いか、三蔵は懐から短銃を取り出し銃口を悟浄の頭に突き立てた。

「ふざけたこと言ってるとてめぇの頭ぶち抜くぞ。」
「あー、……遠慮します。」
「フン…」

そう言うとゆっくりとその銃口を下ろした。そのまま三蔵は外を見つめた。その三蔵に八戒は声をかけた。

「三蔵?」
「なんだ。」
「雅は、どうされてますか?」
「…さぁな。」
「さぁなって…」
「どちらにしても、あいつと言えど、みすみす渡すのは癪に触る。」
「…クス」

何を言うでもなく、笑って三蔵を見つめる八戒。しかし、その場の空気を読んでか読まずか。悟空が突如話し始めた。

「そういえばさー。三蔵!」
「なんだ。」
「三蔵の髪、きれいだなって話をしてたんだよ。」
「突然何言ってんだ、てめぇは。」
「雅がそう言ってたんだ。夜でもキラキラしてるあの髪が好きだって。」
「それがなんだ。」
「俺も三蔵の事好きだぞ?」
「気持ちわりぃんだよ」
「だから、そうやって好きになってくれた事、俺嬉しいんだよ!だから雅の事はちゃんと守りたい。」
「だから何が言いてぇんだ!」
「三蔵だって同じだろ?」

そのひと言で空気はふっと緩んだ。

「だから理由を知っても雅の事守ろうとしてくれるんだよな!」
「守ることなんざしねぇよ。」

そういうとガタリと椅子から立ち上がった。そのまま部屋の扉を開けようとした時だ。その背中に向かって悟空は言葉を投げ掛ける。

「ありがとうな!三蔵!」

その言葉に何の返事もしないまま、ゆっくりと三蔵はその部屋を出て雅の眠る部屋に戻って行った。
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