第25章 次の世代へ、そしていつまでも側に
シルバークロウとして生きると決めて数十年。
長い時間をシルバークロウの名と共に歩んできた。
師匠への誓い。そしてシルバークロウを名付けた男に恥じぬよう生きてきた。
ローと出会い、ハートの海賊団に全てを捧げる覚悟を決めて海賊になって十数年。
月日とは早いものだ。
私が関わっていたオルニスはほとんどが代変わりして、今ではあの時候補者でもあったあの少女がスパローとして活躍しており、今や一番の古株らしい。
最近ではとうとうクレインが弟子に跡を継がせたと聞いた。
いつの間に弟子を取ったんだあの人は…。
でも、そんな私もこのシルバークロウを後進に譲る日が来た。
「ちゃんと全部持った?忘れ物ない?」
私の前を歩くのは銀色の短髪の青年…と言ってもまだ年齢は18歳。
私がシルバークロウとして旅立った歳にこの子も世界を背負って旅立つ。
「大丈夫だ。心配しすぎだって」
苦笑いしているこの子は彼に似た顔立ちだけど髪色だけは私と同じ。
幼い頃から情報屋になりたいって言ってくれたこの子に私が世界の厳しさ、情報屋として生きる術。彼やクルー達からは戦闘についてを叩き込まれて育った。
そして、15歳になった時にシルバークロウを継ぎたいと言ってくれた。
嬉しかったけど複雑。だって世界を背負わないといけないから。
でもこの子の意思はどこかの誰かさんに似て絶対に曲がらなかった。
曲がらなかったおかげで今日、シルバークロウとして旅立つのだ。