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満月ノ夜【菱田春草】

第1章 失クシタ記憶


「ここ…どこ?」


目を覚ますと、大きな屋敷の敷地内で横たわっていた。


辺りを見渡したけど、薄暗い景色。
やけに紅く大きな満月の光だけが、優しく私を照らしてくれている。





「何なの…この建物」


レトロな感じの大きな家。
こんな立派な建物なんて、家の近くにあったかな…





「っ、」





家?
そういえば、私の家って…





ダメだ。
何も思い出せない。





これは夢?


あまりにもリアルすぎる夢。
夢の中なら、一刻も早く目覚めてほしいのに。





「っ、」


自分の頬を軽く抓ってみたけど、痛みしか感じられない。





これは夢じゃない。


現実なんだって思い知らされてしまう。





どうしようもなく途方に暮れていた私。


そんな時、カツンカツンと音を立てながら誰かがこちらに向かって歩いてくる足音が聞こえてきた。





嘘でしょ…


どうか気付かれませんように。


目をぎゅっと閉じて、息を殺しながら足音が去っていくのを待っていたのに。





ぐううううう…


急に鳴り出したお腹の音。





「っ、」


こんな時に、最悪だ…





?「誰?そこに誰かいるの??」


「!!」





絶体絶命のピンチに陥ってしまった。
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