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後輩《テニスの王子様 手塚国光》

第3章 嫉妬深い後輩


「ん、ん……ぅっ」

突然の事に息がうまく出来ず、手塚の胸を押し返そうとするとかえって壁に押し付けられてしまう。
混乱してされるがままの状態で、舌を絡め取られ、どちらのとも分からない唾液が顎を伝う。

「は、はぁ、ん…っ…くにみ、つ…?」

ようやく肺が酸素を取り込めるようになると、肩で息をしながら彼の身体に体重を預ける。

「…」

こんな風に荒々しく口内を侵されたのは初めてで、その余韻のせいか、酸素が足りないせいか頭がぽーっとしていた。

薄い国光の唇が、私の名前を呼んでいる。
その光景を眺めながら、もっと先程のキスを味わいたいと思ってしまった。

欲情の色に染まった私の瞳を覗き込んだ手塚が瞬間的に目を見張り、また眉間に皺を寄せる。

「……煽ったのはそちらだぞ」

そう呟いてから、また貪るようなキス。
口腔内で手塚の舌を受け入れる。
いやらしい水音に頭が痺れて、蕩ける。
お腹のあたりがむずむずする。
手塚に対する気持ちが身体の中から引きずり出されるような、そんな感覚に陥っていた。

「好き…国光、す…きぃ」

すりっと頬をすり寄せ、蕩けきったような声で甘えると、優しく頭を撫でられる。手塚の声も匂いも何もかもが心地良くて、ぎゅーっと子供みたいに抱きつく。

暫くすると手塚の怒りも収まったのか、大きな溜息が降ってきた。


「すまない…少し歯止めがきかなくて」

「ん…?」

「貴女があまりに無防備に、他の部員達と接するから…」

居心地悪そうに言い淀む生意気な後輩を見て、ようやく全てが腑に落ちた。

「あ、あー、そう言う、なるほど、あー、なるほど」

手塚の意外な一面と愛されてる実感に私まで恥ずかしくなってくる。

「それから…」

「それから…?」





「越前リョーマに構うのは禁止だ」




生意気な後輩は、今日も愛しい。

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