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あおい春のはなし

第2章 牧さん夢 デート


貴重なバスケ部オフの日。
二人で出かけることになった。
「どこか行きたい所はあるか?あんまり休みがないからな、欲張っていいぞ」笑顔の牧さんがそう言う。
(その台詞だけだと休日のお父さんみたい…)
「じゃあ…うーん、江ノ島とか…?」
「ああ、いいぞ!波乗りでよく行く」

天気は快晴。
洋服は張り切ってミニのワンピース。色は白で、カラフルなお花の刺繍がある。(牧さん脚好きだしね…)海でも歩き易い革のサンダル。

待ち合わせ場所にいくと、黒いシャツにデニム姿の牧さんがいた。いつもはオールバックなのに今日は髪をよこわけで下ろしていた。
「おはようございます…って牧さん髪型!」
「ああ、まあ髪切ったんだ」
「素敵ですよ」
「ありがとう」

江ノ島の灯台を目指して手を繋ぎ歩く。
牧さんは登り坂ももちろん涼しい顔で余裕だ。
牧さんが私のペースに合わせてくれている。
「スポーツやってそうな筋肉のつきかただが、何かやってなかったのか?」
「スポーツというか…バレエを3歳から続けてますよ」
「!なるほど、確かにそういう感じの筋肉だ」

てっぺんまでなんとか到着し、デッキでドリンクを飲む。景色がきれいで、海風が心地いい。
「俺の家は、江ノ島から近くてな、今日は歩いてきた」
「それでサーフィンが趣味なんですか…!」
「ああ」
「夏休み前半はインターハイでしばらく会えないな」「広島はさすがに気軽に応援にいけないですね…寂しいけど…神奈川から応援してます」笑顔でそう牧さんの顔を見る。
静かに肩に手を回され、牧さんがキスをくれた。
心地いい優しい触れるだけのキス。最近やっと慣れた。牧さんの大きな手も心地いいのだった。

下りは、カフェに寄り道したりのんびりした。しかし快晴だったのが、急に雲行きがあやしくなる。

「ゲリラ雷雨ありそうだな、水族館までもつか…?」
「急ぎましょう!」と牧さんの手を引いて小走りしようとして、ずりっと滑ってしまった。
「きゃあ!」「!」
あわてて牧さんが支えようとしてくれるものの、しりもちをつく。
「い、いたあ…」「大丈夫か!」
その瞬間ポツンと頬に触れる雨粒。
あっという間にどしゃ降りになり、牧さんが私を担いで、軒下まで運んでくれた。
ただもう、二人ともびしょ濡れでとても水族館には行けそうにはなかった。
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