第6章 藤真夢+清田
朝練のない朝は、学校の最寄り駅で藤真と待ち合わせしている。
自宅の最寄り駅から、いつもの電車に乗ろうとホームで電車を待っていると、
「あのっっ!」と声がした。
振り返ると、ロン毛を後ろで結んだ男の子が緊張した様子で立っている。
「…何か?」
「これ!読んで下さい!」ズイッとくしゃくしゃの手紙を貰う。
びっくりしてる間に男の子は脱兎のごとく走り去って行った。今の制服…海南?
鞄にしまい、電車に乗る。
学校の最寄り駅で藤真を待ってる間、さっきの手紙を開いてみる。
一生懸命丁寧にかいただろう文字、
朝の君へ
毎朝みとれていました。一目惚れです。
一度だけ思い出にしたいのでデートして下さい。
お願いします。
海南大付属高校一年 清田信長
nov@…… 090-△△△-2223
「ラブレター?」
声がして見上げると、藤真の顔があった。
「うん。さっき地元の駅で渡された」
「俺、知ってる。清田って海南バスケ部の一年」
「…返事する?」歩きながら、チラッと視線だけこちらをみる。
「え?別にしないけど?」
「…来週海南と練習試合あるから、清田のバスケみてみれば?」
「う、うん…。でも、試合みにいっても私、藤真しかみないよ?」
「ああ、そうだな。それ知ってる」