第4章 藤真夢 湘北戦前後の話
藤真と付き合うことになったのは嬉しかったけれど、バスケ中心というのやはり変わらずの毎日。
朝練のない日に朝一緒に登校して、お昼を一緒に食べて、帰りはバスケ部が遅いからほとんど一緒に帰宅することはなかった。
ただ少し意外だったのが―…
屋上の物陰、至近距離にあるのは整った綺麗な顔。
まつ毛の長さに見とれる。
バスケ部の書類書きや練習メニューに没頭してると思ったら、何かと不意討ちでキスしてくる。
「藤真ってキス魔だったんだね…」
「ん、自分でも意外。好きな子とするとこんな充電されるのな?」
「普通、好きな子以外とはしないでしょ…」
「中学のとき興味本意だけでしたことあるよ」
しれっという藤真。
「!!」
「お前もモテるから、一度くらい誰かとキスしてるだろ?」
「し、してないよ!!三年も誰かに片思いしてたんだから!」
キョトンとする藤真。「それ俺なわけ?」
「う、うん」
「ありがと、じゃお礼…」ってまたキスしてくる。
「う、嬉しいけどほんと誰かに見られるよ…ここ学校だよ…」
「まあ、上手くごまかせば大丈夫でしょ…」ニヤリとして、顎をくいっと持ち上げる。
いやいやそういう問題じゃないし、心臓もたないよー!
「藤真」
物陰から花形くんが顔をだす。「明日の試合打ち合わせしよう」
一瞬にして顔つきの変わる藤真。「ああ今行く」
立ち上がり、花形くんのそばに向かう。
こちらをふいっとみて、笑顔みせた。
「次の試合終わったらオフあるから、どこ行くか考えといて」ビシッと指さされる。
花形くんが私に会釈して二人が部室に向かっていった。
確かインハイ予選の初戦だったっけ…
藤真は試合でないらしいど、みにいってみようかな。
晴天の屋上で一人そう思った。