• テキストサイズ

あおい春のはなし

第1章 牧さん夢 出会い


海南大付属高校。私が通う高校だ。
湘南の海の匂いがして、開放的でわりと気に入っている。

二年になって休んだ日に生徒会委員決めがあって、まんまと委員会の一人にきまっていた。
(まあ、帰宅部だし、委員会の雑用してもいいかな)

今日は各部の部長に書類を配り。
何度か教室をたずねてもある部長が捕まらず、バスケ部だけがなかなか渡せずにいた。

(まあ、放課後の部活中にいけば絶対渡せるよね)

そう思い体育館をのぞく。

「誰かに用っすか?」
後ろから声をかけられ振り返ってみると髪を後ろに結んだ元気そうな男の子がいた。

「あ委員会です。部長さんに渡したい書類があるんだけど…」

「キャプテンならまだ部室っすよ。場所分かります?」

「うん大丈夫。書類渡したいだけだから部室いくね」

(バスケ部だけ渡したら帰れるし急ごう)
パタパタと駆け足で、バスケ部の部室へ向かい、勢いよくドアを開けた。

「バスケ部部長さん!」と声をかけると、

よく日に焼けて、鍛えあげられたたくましい上半身の男性がビックリしてこちらをみていた。

「え?、せ、先生!?すみませんでした!」急いで出ようとすると、男性にま、まて!と手首を捕まれた。
すると、
「俺は先生じゃない!せ、い、と、だ!」
と焦りながらも鬼気迫る言い方で思わず笑ってしまった。
「そんなに笑うことないだろう」
やれやれとため息をつく。

「部長さんでしたか、委員会の書類を届けに…」といいかけて、今さらながら目の前のたくましい上半身に赤面してしまった。

バスケ部キャプテンに書類を押し付けるように渡すと、ペコリと頭をさげ走りさった。
(はあ…なにあの身体…筋肉があんなにキレイだなんて…ドキドキする…)

そのまま帰ろうかと思ったけれど、さっきの筋肉美に魔法にかけられたのか体育館の二階に足が無意識に向かっていた。

体育館の二階には何人かギャラリーがいた。
そっと練習するバスケ部をみると、さっきのキャプテンもいた。
そして一番力強く、一番バスケがうまい。

(あのキャプテンめちゃくちゃうまい…)
目がそらせないほど惹き付けられていた。

それから、毎日バスケ部の練習をみて帰るのが日課になっていた。




/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp