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モノクロの世界【文スト】

第3章 黒の時代


白さんが居なくなって数ヶ月。

相変わらず私は本部で事務を主にしている。

今は治さんの家に居候中。

白さんがそうする様に多分根回しをして下さったんだと思う。

…振り向かせたいな。

物理的にでなくて、気持ちを。

五歳下の子供なんて相手にしてもらえないだろうけど。

カチャと控えめになる玄関の扉の音。

「治さん。お帰りなさい」

「嗚呼蓮ちゃん。ただいま」

最初は寝てて。って云われていたが治さんはほっておくとそのままにしてしまうから。

って云うのは建前で。

一緒に居られる時間は傍に居たいと云う私の我が儘。

「お風呂とご飯何方が先がいいですか?」

「ん〜…風呂?」

「判りました」

お風呂を入れ直しつつ、夕飯を温める。

全ての事をやるだけやったら寝る。

あまり我が儘を云いすぎるのは治さんに迷惑だから。

治さんが食べた食器を洗ったら寝る。

お風呂掃除は明日。

寝室は別になった。

「流石に女の子が男と同じ部屋は一寸ね」

と困った笑みで云われたら頷くしかないじゃないですか。

欲しいものは特に無い。から月一で治さんから渡される万札は大体突っ返す。

私だって働いてるのに。

治さんは服を買ってきて下さったりするが、下着だけは頑なに買ってこない。

「下着は好きなのを着るモノだよ」

そう云う線引きなんだろうな。
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