• テキストサイズ

武将達との恋物語

第11章 いいこと探し 〜直江兼続〜 



『お前の言いたいことも分かる。だがあれは言い出したら聞かぬ所がある。お前と一緒になるにはまだ禊が足らないと思っているあれの好きにさせてやろうと思ってな』


『謙信様…』

幼い頃から愛弟子として近くで見てきた謙信様の言う事に間違いはないのだろう。
確かに、兼続さんはこうと決めたら是が非でもそれを実行してしまう人だ。


『お前も、お前の家臣も揃って愛することに不器用だな』

信玄様は何処か含みを持たせた言い方でお酒をグイッと飲み干し、

『信玄、余計な口を叩くな』

謙信様は物憂げにグイッとお酒を飲み干した。



・・・・
・・・・・

そんなこんなで、両思いになってすぐに離れ離れになった兼続さんがようやく戻ってくる。


部屋に戻った私は、兼続さん愛用のお香を焚いた。

これだけでもう兼続さんを思い出して、直接その肌に触れたくなってしまう。

「いいこと探し、してくれてるかなぁ…?あっ、今日は兼続さんがもうすぐ戻ってくるって聞いたから、またいいこと一つ増えちゃった。ふふっ」 


茶柱が立ったとか、綺麗なお花を見つけたとか何でもいい。そんな些細な”いいこと”、兼続さんも探してくれてるかな?

命懸けの任務の最中にそんな事考えてられないだろうけど、何か一つでいいから、今日もいい事があったと、あなたにも思って笑っていてもらいたいな…


とは思うものの…



「………はぁ〜、でも、なんて言おう…」

お香を焚き終えた私は深くため息を吐く。


「さっきの兵糧丸、ちょっとやばかったな…」

さっきのチーズ臭が込み上げてきて、私は胸を抑える。

チーズは好きだ。
好きなんだけど…、美味しいとも一瞬思ったのも本当だけど…

実は兵糧丸を口に入れて噛んだ後、鼻から抜ける程のチーズ臭に胸焼けがして込み上げるものがあった。


「……これが、悪阻ってヤツかなぁ…?」

兼続さんの文机の前に座ってお水を飲み胸焼けを落ち着ける。


ーもしかして、もしかする?ー


って、ここ最近ずっと思って来たけど、日を増すごとに疑惑は確信に変わっていく。









/ 150ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp