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武将達との恋物語

第10章 Reincarnation 〜織田信長〜



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信長様に冷たく突き放されお寺へと戻った夜も、私はやはり夢を見た。

そしてその夢は、空良の最後の時の夢…

私は居てもたってもいられず、もう二度と姿を見せるなと言われた信長様の部屋へと走った。


悲しくて、苦しくて、悔しくて…
でも空良は、信長様が助けに来てくれた姿を見て、その腕の中に閉じ込められて、とても安堵し幸せだった。

もう助からないと分かっていた彼女は、信長様がこの後に悲しまない様に、持てる力の全てを振り絞って気持ちを伝えた。


『信長様…愛しています……』

だからどうしてもその事を信長様に伝えたくて…




「來良 ……」

そして全てを伝え終えた時、信長様の手が躊躇いがちに私に伸びて来て、頬に触れた。


「信長様…」

深い悲しみを宿す深紅の目と見つめ合い胸が甘く疼いた時、



「信長様っ!敵襲ですっ!」

廊下から部下の叫び声がして、その甘さから一気に引き剥がされた。



「敵襲?何処の軍だっ!」

信長様は私の頬に当てていた手を引っ込めて部屋の襖を開けた。


「まだ分かりません!ですが既にこの本能寺はすべて包囲されておりますっ!」


「敵の数は!」

「ざっと見る限りでも一万は超えているかと…」


信長様は両手で襖を思いっきり開け放つと外を睨んだ。
 

「ふっ、こちらは百にも満たん」

(もしかして本能寺の変?でも佐助君の計算だと明日のはず…それとも私が来た事で時間軸がズレた?)


「來良」

「信長様」

「貴様は、このまま寺の僧侶達と共に逃げよ」

「えっ?」

「狙いは俺だ。僧侶や女に手は出さんだろう」

「で、でも信長様は?」
史実を知っていても聞かずにはいられない。

「俺は敵を迎え撃つ」

「っ、そんなの無謀ですっ!今ならまだ逃げられるかもしれないのに」


「敵に背を向けるなどできん。だがこの件は貴様には何の関係もない。逃げられるうちに逃げよ!」


信長様は私の腕を引っ張ると、状況を知らせに来た家臣の方へと押しやった。



「信長様っ!」

「此奴を連れて行け、消して死なせるな!」

「はっ!」

「まっ、待って下さい!私だけ逃げるなんてそんな、信長様を置いてはいけません!」

私は慌てて信長様の元へと駆け寄り袖を掴んだ。




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