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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第13章 別れ





「この屋敷の主人に汚職などの嫌疑が掛かり捕縛された。
この部屋は伯爵令嬢の部屋だと思ったが、ご令嬢は
どこにいる?」


何故この憲兵は一目散に私の部屋に来て、
私を探しているのだろうか?

そう疑問に思いながら、その憲兵の様子を窺い見る。

黒い短髪に髭を生やした痩せ型の男だったが、
その胸元には『長』を表す赤いループタイがあり、
かなりの上役だという事に気づく。

この男の思惑がわからなかったので、
私はメイドの振りを続行した。


「申し訳ございません。気づきましたらお嬢様は
どこにもおらず・・・机の上にこのお手紙が・・・」


そう言いながら遺書を憲兵に手渡すと、
彼は焦ったように遺書の封を切り読み出す。

読み終わると頭を抱えながら私を非難してきた。


「何故、ご令嬢がここまで追い詰められているのに
お前達使用人は放置していた?死ぬと書いてあるぞ」

「そ、そんな・・・っ!?申し訳ありません。
我々使用人は『お嬢様と決して仲良くなるな。
監視だけしていろ』と旦那様に厳命されて
おりましたので・・・」


私が言った事は本当の事だ。
両親は使用人達に私と普通に話す事を禁じ、
監視するように命令していた。

憲兵は使用人の弱い立場を理解しているのか、
すぐに「すまない。お前達の身分ではどうにも
ならない事だったな」と謝ってくれた。

しかし、何やらブツブツと独り言を零し始めた。


「まずいな・・・ご令嬢を保護し損ねたと知ったら、
エルヴィンの奴激怒して何してくるかわからんぞ・・・」


青い顔で頭を抱える憲兵の言葉に私の心が弾んだ。



―――エルヴィンさんは本当に私を
助けようとしてくれていたんだ!




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