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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第12章 取引





「連絡はダリウスさんに頼んでいます。
『結納の品』にこっそりメモを忍ばせる
つもりなので日付だけお願いします」

「了解した。あの店主が協力してくれると心強いな。
必ず連絡は入れる」

「ありがとうございます。エルヴィンさんの有能さを
信じていますので、よろしくお願いします」


それは本当の事だ。
事実だし調査兵団団長をやっているのだから
有能に決まっている。

そう思って口に出したら、エルヴィンさんは
自嘲的な笑みを浮かべて「有能さを、か・・・」と呟いた。

自分では褒めたつもりだったが、
もしかしたら失礼な事だっただろうかと慌てながら

「す、すみません!エルヴィンさんの能力の高さは
折り紙付きなので褒め言葉として選んだつもり
だったのですが、お気に障りましたか!?」


と弁明すると、彼は「いや、私の能力を高く
買ってくれて嬉しいよ」と小さく笑った。

やはり何か気に障ったのはわかったが、
追求する事も憚られて私は黙るしか無い。

だが、そろそろタイムリミットが迫っていたので
持ってきた鞄ごとエルヴィンさんに差し出した。


「これが全資料です。鞄ごと持って行って下さい。
私は本当にエルヴィンさんを信じていますから!」


グイッとエルヴィンさんに押し付けるように鞄を渡し、
私は別れの言葉を口にする。


「本当に今までありがとうございました。
最後にエルヴィンさんにお会いできて本当に良かったです。
私はもうダリウスさんの店には行けませんので
エルヴィンさんともこれが最後です」

「・・・最後・・・?」


エルヴィンさんはそう呟いた後、
ハッとしたように立ち上がった。



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