• テキストサイズ

ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第12章 取引





「そうです。私はエルヴィンさんが欲しがっている情報と
その物証を持っています。それを貴方に渡す代わりに
私の願いを叶えて貰えませんでしょうか?」

「・・・・・・・・」


即座に『調査兵団団長エルヴィン・スミス』の
顔になったエルヴィンさんに私は内心苦笑する。

こちらの意図を測りかねているのか、
こちらの表情を窺いながら逡巡している。


「私が欲しい情報とはどのような、と聞いても?」

「えぇ、勿論」


私はそう言うと資料の一部を鞄から取り出し、
テーブルの上に広げた。

エルヴィンさんはその資料を食い入るように見て、
更に考え込んでいるようだった。


「それは一部です。貴方が欲しい情報とは
カプレーティ伯爵家及び調査兵団廃止派を
一網打尽にして潰すネタ。潰すには数々の
不正の証拠や一派の繋がりの証明が必要・・・
で合っていますよね?」

「・・・それで合っている。しかし、これが一部・・・?」

「えぇ、まだまだありますよ。いりますか?」


挑発するように言うとエルヴィンさんは姿勢を正し、
真っ直ぐ私を見据えた。


「君の願いを聞こう。私に出来る事であれば善処する」

「善処ではいけません。必ず実行すると仰って下さい」

「内容次第では『善処』としか言えない。
申し訳ないが私に与えられている権限では
限度というものがある」


誠実な返答に私はにっこり笑いながら
自分の『願い』を口にした。


「簡単な事です。三週間以内に私が所持している資料を
全部使ってカプレーティ家及びそれに連なる一派を
一掃して下さい。家の取り潰しは当然、特に両親は
死罪にして頂きたいのです」

「・・・っ!?」


エルヴィンさんが驚愕の眼差しで息を呑んだのがわかった。



/ 142ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp