• テキストサイズ

ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第10章 香水





「お店に戻ったらエルヴィンさんの魅力をもっと上げる物を
物色しましょう!意外と上流階級で流行っている品物も
入荷しているんですよ。夜会の話のネタにでも
どうですか?」


おどけて言った私にエルヴィンさんは目をパチクリさせた後
「君も店主に劣らず商売上手だな」と不敵な笑みを
浮かべた。


「最高の褒め言葉です。何か仕事が出来ないと
生きていけませんから。エルヴィンさんも淑女から
資金を援助して貰わないと兵団の運営が大変でしょ?」

「なかなか言うな。実際その通り過ぎて
ぐうの音も出ないけどね」


二人で冗談を言い、笑い合ってからお店に戻ると、
ダリウスさんが溜息を吐きながら入れ替わりに
お昼に入ったので遠慮なく店内を物色させて貰った。

エルヴィンさんも「店主に悪い事をしたな」と
言いながらも、私が選んだ物を丁寧に検分し
好みを伝えてくれる。

夜会で使えそうな物を手当たり次第テーブルに
並べていたが、ふと一つの器を手に取り少し考えた。


「こちらのグローブも頂こうかな。夜会でつける
グローブでなかなか私の手に合うサイズが
無かったから助かったよ」


ハッと我に返りエルヴィンさんが手に持っていた
夜会用の手袋に目を留め「流石お目が高い」と受け取る。

エルヴィンさんは大柄な上に軍人で一般人より手が大きい。

ナヨナヨしたお貴族様には大柄な男性は少ないので、
質の良い大きめのグローブの物量も少ないのだ。

夜会では手にピッタリ合うグローブ程良いと
されているので彼が選んだ小物は最適だと思う。

ぶっちゃけエルヴィンさんに会ってから
何となく大柄な男性用の小物も増やしておいたので、
その労力が報われた瞬間だった。

受け取ったグローブと香水瓶を綺麗にラッピングした後、
私は先程取った器をエルヴィンさんに差し出した。



/ 142ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp