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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第16章 後押し





「その・・・俺はプライベートの事になると途端に
気が回らないらしいから、今の提案も合理的過ぎて
色気がないと不快にさせてしまうのではないかと
危惧していたんだ」


・・・確かに、普通の女性だったなら
どういう反応だったのだろうか?

花束をくれた余韻に浸っていたのに!と怒るのだろうか?

やはりセオリー的には、花束と指輪を同時に渡して
プロポーズして欲しかったのに!と怒るところ
なのだろうか?

だけど、そんな事をしていたらお花がどんどん
萎れていってしまうし、持ち歩くと邪魔に
なってしまうかもしれないし、合理的ではない。


「多分私も普通の女性ではないのでよくわかりませんが、
この場合、合理的でないとお花が傷んでしまうので
個人的には良い提案だったと思いますよ?折角頂いた
お花が早く枯れるほうが嫌じゃないですか?」

「そ、そうか!それは良かった」


はははっと少し情けない表情で笑うエルヴィンさんが
新鮮でニコニコしながら見つめていると、
彼は顔を真っ赤にしながらまた咳払いをして
私の手を握り「食事に行こうか」と店を出た。


一緒に歩きながら先程の会話に違和感を覚え、
何かな?と疑問に思っていたものの、すぐに
その疑問の答えが判明した。

そうか、エルヴィンさんは素だと一人称が『俺』なんだ!

さっきも今はプライベートと公言していたし、
仕事が絡まないお出かけはひょっとして初めてなのでは
ないだろうか?


憧れていた人のプライベート部分に触れられるのが
こんなに幸せに思える事だったなんて、と喜びで
こっそり笑った。


どこかのレストランにでも行くのかなと
エルヴィンさんの顔を見ると、彼は急に立ち止まり
奥の道を見た後、私の顔を見る。


「・・・今から提案する事は非常識だと思うし
却下してくれても構わない。とても変な提案を
するが良いかな?」

「は、はい。何でしょうか・・・?」


とても緊張した面持ちで彼は言った。



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