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ロミオとジュリエットは何故不幸になったのか【エルヴィン】

第15章 原因と告白




よく聞き取れなかったので「はい?何でしょうか?」と
尋ねると、エルヴィンさんは勢い良く顔を上げて、
一気に話し始める。


「何故君が以前『ロミオとジュリエット』の話が嫌いで、
尚且二人が不幸になったのか心底理解出来た。
たった今私も『ロミオとジュリエット』が
大嫌いになったよ。こうして誰かによる情報の隠蔽
又は連絡のミス、様々な齟齬が生じたりしたせいだ。
実際味わってみてよくわかる。他人の不幸は蜜の味という
ゲスな思想は当事者にとっては正に地獄であると同時に
殺意が湧いてくるというのがよくわかった」


「は、はい。そうですね」


何となく勢いに負けてどもっていると、
エルヴィンさんはいつになく真剣な表情で私の手を取った。


「私は見掛けよりも臆病で、卑怯な聞き方しか出来ないが、
・・・正直に答えてほしい。君は私の事を
どう思っている?君を利用した事を恨んでいるだろうか?」

「・・・え・・・?」


恨んでなんかいない。
むしろ感謝している。

そう伝えようと口を開きかけた時、調査兵の方々
(特に女性陣)からブーイングのような野次が飛んできた。


「男ならはっきり告白しろ!」

「散々色々やっておいて、おまえは保身かっ!?」

「団長!こういう時女性はロマンを求めます!」

「この期に及んでみっともない姿晒してんじゃねぇよ」

「エルヴィン・・・おまえ・・・」

「団長、もっと勇気を持ちましょうよ!?
いつもの団長はどこに行ったんですかっ!?」

「よくわかりませんが、この流れからいって
今のお言葉よりももっと相応しいセリフがあるはずです」



容赦のない部下からの言葉にエルヴィンさんは
必死の形相で「うるさい!私はおまえ達が思っているより
繊細なんだ」と言い返す。

自分のせいで部下から責められるような形になって
しまっているので、私は慌てて「恨んでないです!」と
答えた。



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