第1章 Pensami!【ジョルノ】
ふう、と一息ついて、ジョルノはソファに腰掛けた。上質な革張りの座面に包まれた彼が視線を向けるのは、忙しなく動き回るチヒロだ。
「今回の任務も無事に終了してよかったわ。あとは報告資料をまとめてしまわないと」
「チヒロ、少し休んではどうですか」
そう投げかけるも軽くいなされ、小さく苦笑する。
ジョルノが彼女と組んで任務につくようになったのは、もう2ヶ月程前の事だ。
入団当初、あのリストランテで初対面のメンバー達から随分と値踏みされたのは記憶に新しい。
得意の機転を利かせて乗り切ったものの、ブチャラティから
「実は別の任務で、ここに来ていないメンバーがもう1人居る」
と聞かされた時は、もう一度こんな苦労をするのかと気が滅入ったものだ。
だが意外にも残る1人のメンバーであったチヒロは、出会ったその時から笑顔を向けて、それは親切に接してくれた。
他の面子とのあまりの違いに、何か裏があるのではないかと勘ぐってしまった程だ。
そんな経緯はともかくとして、ギャングの一員としての振る舞い、みかじめ料の徴収方法、街の治安維持に必要な知恵と知識……親身になって教えてくれた彼女が居たからこそ、彼は素早くチームに適応することができたと言える。