第12章 生きなきゃいけない
「おい、ブス」
男子の声が聞こえる。
「お前、爆豪勝己とかなんとかふざけてんのもいい加減にしたら?先輩にチクるぞ?」
コイツは、完全に煽るだけのために来たみたいだ。
じゃあ、私も精一杯応戦してやろうか。
「いいよ。私がアンタ達のせいでどれだけ辛い思いをしてたか、全部伝えてよ」
「はっ?」
「零……」
綾香が心配そうに見ている。
「私はアンタ達にどれだけ傷つけられたか知ってる?」
自分の存在価値、プライド……。
広かった人間関係。
周りの信頼……。
「私は全てを失った。だから今、新しいスタートを切ろうとしてたけど……想定外なことにかっちゃんが……」
楽しい平凡な毎日とは行かず、必ず変なことが起きる。
さすがに今回の件は夢のようであり得ない。
「はっ、何が再スタートだ?お前はストーカーしたんだ、犯罪者なんだよ!」
噂で言われるよりマシだなぁ……。
そう思っていると、綾香も応戦する。
「零がそんなことするわけない!零は全部話してくれたんだよ。聞いてて辛かった……」
「綾香……」