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祝福されないドロップス【尾形百之助】【BL】

第16章 東京




美男美女のおかげもあってか、値段の張る螺鈿細工は次から次へと売れていく。その様子を嗅ぎ付けた番頭がやってきて、店内の個室へと案内された。


【店長】
ほう・・・・。これはすごいですな。この技術は今まで見たことにない、まるで絵を描いたように繊細だ。色使いもいい。そこの若旦那がお作りになったんですか?

【慶次】
はい。

【すず】
よければうちの商品を置いて頂けませんか?それほど出来た商品なら他の店に負けないでしょうし。

【店長】
ええ、それはもちろん!ぜひこちらの方からお願いしたい。


露天販売は成功し、商品として売り出していなかった螺鈿細工を見せると契約はトントン拍子に進む。拠点は茨城に置いたまま商品を売り出すことにし、満足げな表情で店を後にした。


【慶次】
はあ・・・・。一時はどうなるかと思った。

【百之助】
大成功だな。

【すず】
そうね。さて、お金も出来たことだし、ここからは別行動しましょ。2~3日後にこの場所でこの時間で落ち合うってことで。


長い夏の日が傾き始めた頃、すずは割り切りの良い声を上げる。


【慶次】
え、いいのか?こんなに早く・・・・。

【すず】
野暮なことは聞かないで。その代わり私に似合う帯を買ってきて、それに螺鈿細工して欲しいわ。それくらいご褒美もらってもいいでしょ?

【慶次】
ああ、それくらいお安い御用だ。すず、恩に着る。

【すず】
じゃあね。あんまりはしゃぎ過ぎないようにね~。


すずは軽やかな足取りで町中に消えていき、百之助と急に二人きりになってもどかしくなる。


【慶次】
その辺、ぶらぶらするか?

【百之助】
そうだな。


当てもなくぶらぶらしながら、今晩の宿を探す。

できるなら良い宿に泊まりたい。下半身が疼き出すのをよそ目に、百之助は「浅草に行きたい」と言い出した。




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