Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第21章 緋色の煩悩【赤井秀一】
の上に倒れ込み、小さな身体を抱き締める。弱々しく背中に回ってくる腕も、覚束無いキスも……全てが愛おしい。
首元に顔を寄せて、耳の後ろに口付け、またそこに跡を残す。
小さく声を上げ反応するがまた可愛くて……このまま二回目に持ち込みたい所だが……今は朝だ、そこは堪える。
を疲れさせてしまったら、コイツの休日を奪うことになる。そうなればコイツは怒るだろう。(その怒った顔もおそらく可愛いのだが)
の息が整うまで、しばらくそのままでいた。
「……さて、どうする?メシにするか、風呂にするか……それとも、もう一度俺にするか?」
「う、うーん……と、ごはん?」
「分かった、用意してくる」
「ま、待って!もうちょっと……」
ベッドから起き上がろうとすると、にしがみつかれた。もう少しこのままが良い、と言う事か。
何もせずにゆったり過ごす時間……この数年、俺にはそんな時間こそ無かったが、そもそもそんな過ごし方は時間の無駄でしか無いと思っていた。
だが沖矢として生活するようになり、時間に余裕もできた今は、のんびり過ごすのも悪くないと思うようになった。
月を見上げて酒を飲んだり、料理に何時間も費やしたり……こうやってセックスの後にダラダラするのもそうだ。
あの組織を壊滅させ、父親とも再会できたら……俺は今の職を辞するのか、続けるのか。
FBIの仕事はやり甲斐もある、有難いことに良い仲間達にも恵まれている。
だが、と危険の少ない平和な所で静かに暮らすのも……良いのかもしれん。
そんな事を考えながら、可愛い恋人との朝の時間は過ぎていく。今日は二人で何をしようか。
しかし昼前に眼鏡のボウヤから連絡があり、俺の父の失踪のきっかけとなった事件と酷似した状況の殺人事件が都内で起こったと聞かされ、のんびりした雰囲気は掻き消される。
を一人家に残し、急遽ボウヤと出掛ける事になってしまった。
夜には戻ってこれるといいのだが。
END