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【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~

第19章 遭遇


翌朝…まだ休暇中とされている降谷の元からするりと抜けだした雅。

「まだ時間も早いし…どうしよう…」

そう言いながらも冷蔵庫を開ける雅。1週間居ない予定ともあって何もないに等しかった。

「何かを作るにしても、卵と牛乳…だけか…」

そう呟いていた。しかし食パンを見付けた雅は思い立ち、フレンチトーストを作る事にした。甘く優しい香りで降谷も目を覚ます。

「おはよう…」

そう言いながらキッチンにやってきた。『おはよう』と返す間もなく降谷は雅を抱き締めていた。

「ちょっと…!危ない…」
「危なくない…それに…」

弱火からとろ火に火を落とした降谷。

「この位の火でじっくり焼いた方が食パンの中もふんわりする…」
「…そか…」

そう言いながらもするりと離れ、洗面台に向かった。歯を磨き、顔も洗い終わった降谷は再度キッチンに戻ってくる。

「ごめんね?私も用意してなくて…これだけになっちゃう…」
「…うーん…それなら…」

そう言い残してベランダに向かった。いくつか野菜を採り、持ってくる。

「これでサラダも出来るな」
「おいしそう…」
「そりゃうまいさ!」
「ん、ありがとう…」

そうして順番に仕上げていく。降谷の言った通りふんわりとした仕上がりになった。今まで幾度か作った物の、これほどまでにふんわりと仕上がった事は無い。

「すごい!!さっすが!零さん!!」
「…クス」
「?…なに?」
「雅?ベッドの上だけじゃなくてもいい…」
「…ッあの…」
「まぁ、署内では降谷でもいいが…2人の時には零でいいだろ…?」
「……ッッその…」
「何か不満か?」
「不満なんて…無いですけど…」
「言ってごらん?」
「……私の物じゃないのに…」
「雅のだろ?俺の心は…」
「……フフ…」

小さく笑いながらも雅は降谷の背中からキュッと巻き付いた。広くて温かなその背中が好きだった。

「なんだよ…」
「ヘヘ…」
「食べるぞ?」
「あ、でも…これ…」

そう、降谷の分のみと思っていた雅は1人分しか作っていなかった。

「何言ってる…僕は一口もらえたらそれでいい。ポアロにも顔を出す予定だし。」
「でも…」
「君は俺の事ばかり気に掛け過ぎだ。」

そういっていた。
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