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空蝉が抱く死体【R-18】

第4章 無垢なる天使



《ピーポンポン♩ お風呂が沸きました。》


少しの沈黙、それを破いたのは機械音だった。


『あ、お風呂が沸いたみたいですね。先に入っていいですよ』

「そうしたい所だけど、俺はもう御暇(おいとま)するよ」


そう言って椅子から立ち上がる雨宮に、真白は目を向ける。


『え、もう帰っちゃうんですか?』


その顔は眉を下げてちょっぴり悲しそうだ。


「うん。流石に年端も行かぬ子と2人きりっで、しかもお風呂は社会的にまずいからね」

『そうですか』


彼女が何故悲しむのか、それはわからない。
ただ、今はそのままでいい。


雨宮は落ち込む真白の頭を撫でてやる。
すると、頬を膨らませる真白が雨宮を見上げる。


『私はもう子供じゃないです』

「ふっそうか。でも俺から見たらまだまだ子供だよ。」


可愛い顔にキスを落としてやりたくなった雨宮だが、そこはぐっと堪えた。


『また遊びに来て下さいね?』

「もちろん。またカフェにも顔出しにいくよ」


重たい扉を押し開き、真白と別れを交わす。

そして雨宮は1人駐車場に向かった。


その時


「ーー」

「ーー」


交わる視線。

雨宮よりかは背が低いが、無造作に伸びた髪を1つに束ねた男はすっと雨宮を見た。

雨宮はそれに気づき軽く会釈するも、その男はタバコを口に咥えながら螺旋階段を登っていく。


「なんだ?」


後ろ髪引かれるも、雨宮は車の運転席を開けて乗り込む。


まさかそれがーー






「ただいま、真白」


真白のつながりある人物とは知らないから。


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