第12章 キツネアザミと矛盾の芽

「蜻蛉の顔初めて見たかも」

「お色気サービスというやつだ！どうだあ？」

「「「サービス？？？」」」

とかなんとか言いつつリアのことしか見てないようだが。
まあそりゃあ可愛くて可愛くて仕方なかろう、半分娘みたいなものだったのだろうし。

「ええ〜、リアちゃん蜻蛉に取られちゃった。次俺ね？」

『れ、連勝がなんで？？』

「リアちゃんの保護者枠は俺でしょ」

「いいや私だな」

「むしろ僕かと」

俺なんだがな？？？
言ってから気付いたが立候補者が多すぎるな。

しかもここに太宰も恐らく外せないのだが……ここまで愛されてて塞ぎ込んでたのも悲しい話だ、まあ主に蜻蛉と御狐神との関係性の拗れのせいだったのだろうが。

あと極めつけはやはり太宰の件だったのだろう。

『いや、中也さんいるし』

「リア〜♡いつでも戻ってこいよ？？？♡」

『中也さんはちょっとおかしいくらいな気もするけど……あなたなんで私とそんなにつるんでられるの』

「リアちゃん、聞き方が違うんじゃないか？」

ぐっ、と押し黙ってから、ぽしょりと可愛らしい声で聞き直してくれた。

『……な、んで…………そんなその……り、りあこと好きなの』

「ちょっとリアちゃんが俺のこと好きすぎたからなあ？」

『えっ、なんでそんな当たり前のこと言うの？』

「ほらそういうところ。隠しきれてねぇんだよ最初から、俺が拾った日からずっと俺のこと好きだったんだからおまえ」

『なんのこ「見てれば分かるって、自覚は無かったみたいだがな」……えっと、他は』

なんでだと思う？と微笑んでみても、心当たりが無いようで笑ってしまった。
そりゃそうか、こいつは初めて俺に告白した日のことを忘れてしまっているわけだし。

「だっておまえほんといい子だもん、普通好きになるだろ」

『中也さんは普通の基準がおかしい人だから』

「私もリアちゃん大好きだぞ？」

『か、カゲ様が撫でてくれた♡』

嬉しい嬉しいと尻尾が揺れる。
リアが蜻蛉に甘えてる、これはいい傾向じゃないだろうか。

「食べさせてやろう」

『それは中也さんがいいかも』

「蜻蛉はいいのか？」

『ちょっとだけなら』

「ふはは、これはM『カゲ様黙って』なぜだ、いつもと変わらんだろう？」

『今かっこいいからSM判定したらもったいない』

その言葉はそっくりそのままおまえに返すよ。