第12章 キツネアザミと矛盾の芽
『朝ごはん美味しかった』
「おう、腹いっぱい食った?」
『ん〜……連勝のご飯も食べたいから』
「それ言ったら喜ぶぞあいつ」
実に十五個は追加したのだが、たこ焼き屋の店主も途中から涙を流して感動していたようだった。
気持ちいいくらい美味そうに食うもんなぁ。
「とりあえずリアちゃん、片付けたらすることがあるな?」
『!たこ焼き屋さん、美味しかったです。ごちそうさまでした♪』
「「こちらこそ……!!!」」
よーしいい子だ、と褒めれば嬉しそう。
ほんっっっといい子だ今時いねぇぞそんな素直なの。
「次はどうしたい?」
『えっとねえ……あそこ』
ビーチショップか、悪くねえ。
彼女が真っ先に駆け寄った先には……浮き輪売り場があった。
「浮き輪って……え?リアちゃん??それがいいのか?」
『イルカさん』
「まったく、本当に仕方ねぇな」
速攻でレジに通しに行った。
エアポンプも置いてくれているので膨らませるのだが、そんな光景をじい、と見ては嬉しそうにはしゃいでいるリアちゃん様十五歳。
精神年齢で言えば五歳だ。
いや、ごちゃいだ。
「よし、できたぞ」
『中也さんだいすき♪』
「はいはい、俺も好きだよ」
『!!♡』
海に向けて手を引かれるのでついていくのだが、入る前に大切なことがある。
「リアちゃん、準備運動がまだだな?」
『中也さんて日に日にリアのこと子供扱いするようになってますよね』
「おまえが大人だろうが子供だろうが準備運動はさせるんだよ」
『……してあげてもいい』
しっかり身体を解させてからいざ海水浴。
が、少し足をつけただけでなぜかこちらに戻ってくるリアちゃん。
どうしたどうした。
『リア人型で海入ったことなかったかも』
「なるほど?」
『中也さん一緒に行くの』
「そりゃもちろんだが…………もしかして怖『怖くないし!!!』おまえ分かりやすいなぁ」
そうかそうか、変化してじゃないと入ったことなかったんだな。
『だって普段なら水中でも息できるし』
「そりゃ不安にもなるなあ」
『泳ぐのだって全然違うんだから』
「リアは今日も可愛いな」
『話聞いて中也さん』
もー、と頬を膨らますのもまた可愛い。
「でも気持ちよさそうだなやっぱ。今度プライベートビーチにも行こうか」
『……中也さん好き』
「おう、知ってる」