第11章 珪線石の足音

『いいの、大丈夫』

「大丈夫なわけあるか、昨日は無かったろこんな鬱血して……すぐに冷やしてやるからな、痛かったろ」

『や……やさしく、しないで』

「……だぁめ。大事にされる練習だ、すぐしんどいの隠すんだからな」

『言おうとしたもん』

曰く、俺に着いてくるなと言われた挙句に話しかけても無視されたそうだが……本人がそう感じるような振る舞いをしてしまったのならそうなのだろう。

『今日、は……中也さんやさしかった、から…………ちゃんと帰ってきたもん』

「ちゃんと話聞かなかった俺が悪いなぁそれは、よく我慢していてくれた。ごめんな」

『！なんで怒んないの』

「いや怒られるのは俺の方だろそれは」

『どうでもいいから聞かなかったんじゃ｢絶対に無いよ、手首貸せ｣……どうするの』

びくびくしているのが分かるので、できる限りやさしい声色を意識して話す。

「ん〜？手当するんだよ」

『てあ、てって…………私に？』

「当たり前だろ、おまえ俺がしねぇと放置するだろうがいっつも」

もう片方の手首も処置してから、足首についてだが、と彼女に相談を持ちかける。

「こっちは傷も出来てるし、首領に確認していただこうか。痕になったらせっかく美人なのに勿体ねぇ」

『……？』

本気で惚けられてしまったので、水で洗ってやってからおまえのことだよ、と撫でた。

『えっと、浮気｢してねえよ、俺はリア一筋だ｣ひ、一筋！？♡』

浮気だなんだと言う割には初な反応をする。

｢そうだぞ？｣

『…………じゃあ、あの……お腹も、痛くて』

「！腹？……俺が見ても大丈夫か？」

頷かれたのを確認してから服を捲り上げてもらうと、打撲のような痕が出来かけている。

「これ……骨は？」

『？ちょっと動かしたら痛いくらいで｢今すぐ診てもらいに行こう、とりあえず俺の異能で動かねえようにしておくから……これでどうだ？｣あれ、痛いの平気になった』

こいつ、肋折られてやがる。

「なあ、もう一度聞くがこの怪我……誰に、やられた？」

『……そんなの言ったら殺されちゃうじゃないですか、痛いのと苦しいのは嫌ですよ』

「リア」

多分暴力だけじゃない、以前と同じ奴が犯人なのだとしたら、それだけじゃないはずだろう。

『……なかはらさんの不利益になるから、やだ』

「なっていい」

『いいわけ｢いいから｣……』