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glorious time

第11章 珪線石の足音


二ヶ月もの間俺を避けていたのは、怖かったのと、それから……食事がまともに出来ないことや、寝付けないことを隠すためだったのだろう。

作りに作った料理だけでは余裕で足りず、追加で作ってもするすると食べてしまって、その内ようやっと満腹になったと思ったら……寝落ちした。

食って寝た、あのリアが。

「お疲れ様中也君」

「……まさかここまで食うとは。前の朝食より食べてますよね」

「あれは君に遠慮していただろうからねえ。リアちゃんの能力、色々あって今は完全な状態で使いこなせていないからとんでもなく燃費が悪いんだよ」

「まああれだけ分身してればそりゃあ疲れもしますよね」

「あはは、そっちはまだマシなんだろうけどねえ……まさかリアちゃんがバリアなんて張っちゃうとは思わなかったなぁ、愛されてるねえ中也君」

バリア……とはあの膜のことだろう。

「あれがそんなにきついものなんですか?」

「今回防いだのは毒だっただろうけど、リアちゃんのことならありとあらゆるものを想定したものを張っていたんだと思うよ?例えば異能力とか」

「!異能の力も防げるようなものなんですか」

「厳密には少し違ってね。彼女が扱うのは鎮静効果……異能の効果を極限まで弱らせた結果、あの膜に触れると無力化されてしまうといった代物だ。元々は対異能力者用ではなかったものを洗練させて腕を磨いてね……つまるところ、あのバリアは太宰君の異能力に加えて物理や兵器なんかも無力化するものだと思ってもらえればいい」

「つまり最強じゃないですかそれは」

「リアちゃんの奥義のようなものだしねえ、あれに身体を“溺れさせる”だけで人体は機能を停止するし、更には異能力も発動出来ない……そんなもの、広範囲に使えば使うほどただでさえ消耗が激しいのに身体に負担がかかってしまうだろう?」

守る対象が俺なら、そこまでせずともいいはずが。
彼女からすれば俺だからこそ、だったのだろうが。

「君とリアちゃんが揃って記憶を失っていたのは、その力の応用も応用。はっきり言って神業だ、常人が一生かけた程度で出来るような練度のものではない……だからさしものリアちゃんも、空腹で二人分かけて瀕死になって倒れてしまっていたんだろうけど」

「で、例の八班ですが……俺的には二班の班長、それから諜報隊の副隊長もグルじゃないかと」

「おや、気付いていたのかい」
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