第11章 珪線石の足音

随分と、身体が軽い。
呼吸もしやすいし、頭の圧迫感もなくなってる。

頭の中がすっきりしていて、それから……

『……？…………いや身体重、中也さん？？』

「ん〜？おまえ可愛いから勝手に抜け出すの禁止」

『あの、抱っこ強……う、嬉しいけどこれはやりすぎ』

「やりすぎってことねぇだろ、リアが嬉しいんなら」

全然重いし圧迫感あった。
起きた傍から脳筋のハグいただきました。

「……リアちゃん、尻尾生えてきましたけど」

『中也さんのせい』

「おはようのキスでもしてやろうかあ？」

少し考えてから目を瞑ると、本当にしてくれた。
中也さんがキスしてくれた、えへへ……

しかも頭撫でていい子いい子してくれる。
最近前よりもっといっぱい甘やかしてくれる、好き。

「目覚めたばっかのところ悪いが、とりあえず今日どっちで寝る？」

『どっちって？』

「あー……寝ちまってたからとりあえずうち連れて帰ってきたんだけど」

『…………中也さんのお家』

「ああうん、じゃあ今日はこっちな」

やった、と甘えればまたもやほんと好きだな、なんて心の声が聞こえてくる。
そりゃあ好きに決まってる、だって自分の好きな人の家に連れ帰ってもらえただなんて、そんなもの嬉しいじゃないか。

『？なんかいいにおいする』

「ん？……ああ、目覚まして腹減ったらと思ってな、冷蔵庫に作り置きしてるからいつでも言えよ」

『なにそれ、まだご飯食べさせてくれるの？』

「当たり前だろ、腹いっぱい食えばいいんだよ」

どうしてバレているのだろう、私がおなかいっぱい食べさせられてこなかったこと。

「もう食べたい？」

『……先にお風呂行こうよ』

「何、一緒に入んの？」

『うん』

「…………えっ、見るけど」

『分かってますけど』

そんな今更……たまに一緒に入ってもらってるというのにどうして再確認などしたのだろう。

「おまえほんと可愛いなあ……？？」

『何なんですか、今日ずっとその調子「風呂上がりにマッサージもしてやろうなぁ、疲れたろ今日」いや今日疲れたの中也さんだし……私何もしてないしたまには私がって』

「え、何してくれんの」

『……せ、背中流してあげます』

「リア〜♡朝ごはんは何がいい？？♡」

『ちょっ、そのノリ暑苦しい』

「とんだ孝行娘じゃねえか、嬉しいぜ｣

『…………うん……♪』