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glorious time

第9章 蛍石の道標


「本当に大丈夫か?本当の本当に??」

『しつこい』

「二秒に一回死ねるリアちゃんが俺と離れていられるなんて思えねえんですけど」

事は突然あらわになる。

ポートマフィアの芥川、そして武装探偵社の人虎が組合のボスであるフィッツジェラルドを撃破。
更にヨコハマ焼却作戦も阻止完了。

それはいい。
問題はここからだ。

『とっとと行けっつってんのよめでたいことなんだから』

「…だってお前その格好『誰のせいか分かってるわよねぇ???』さーせん」

組合は解体が決定。
それに伴いこちらの抗争勝利になったため、主要幹部こと自分と紅葉の姐さん、そして首領とで集まるのだが。

「でも流石にボトル開けて飲むんだぞ?しかもあの二人と」

ワインを持っていくのは年少である俺の役目。
華がいるってもんだ。

しかし目の前の少女は、酒は嗜めはするが弱すぎて話にならねえ。
香り付けの洋酒であれだ、同席してもらうくらいは構わないのだが酒の席にはまずい。
今はまだ未成年であるし。

つまりは離れるか、俺が晩酌もどきのそれを断るか。

『執務室にいてやるからとっとと行ってこいクソ幹部』

「全てが幹部に対する態度じゃねえんすけど」

はよ行け、と手を振りながらしっし、とこちらを見もせずにソファーでごろごろ。

「ここにいてもし誰かに襲われたらどうする?」

『殺す』

「…リア、やっぱ立原のところに行こう。そうしよう」

『他の男と二人にさせても平気なんだ?』

「あいつがお前に手ぇ出すこともお前があいつに言い寄ることもしないだろうから信頼してんだよ」

ああいや、違う、このやり取りは覚えがある。
寧ろ嫉妬して欲しい時というか、気を引いておきたい時の感じというか。

「…俺といるより引っ付いてたら立原が後でどうにでもなるから、そこは勘弁で」

『!…珍し』

きょとんとしてから、ぷい、とまた顔を背けられた。
しっぽ振ってちゃ意味ねぇが。

そのまま手を取ればぎゅうう、と腕に抱きついてきて、ぐいぐい引っ張られる。
どうしたどうした。

『……お、遅かったらやだから』

「逢魔が時までには間に合わせる」

『でもでも、リアのせいで楽しくないのもやぁよ…?』

「ばか、お前のおかげで幸せなんだよ」

ほんのり紅潮してくる頬。
さながら乙女、ほんとに乙女。

『抱っこ』

「喜んで」
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