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鷹の目と銀眼の魔女

第1章  銀眼の魔女


大海賊時代が始まってから、世界の海は荒れていた。
かつて平和な暮らしが営まれていた島々は、次々と海賊たちに蹂躙されるようになった。
そして偉大なる航路前半の海に位置するある一つの島も、海賊によって荒らされようとしていた。

「そこに突如現れたのが、大剣を振るう一人の女か・・・」

ミホークの呟きにつるは頷き、話を続けた。

「島民の話では、瞬き一瞬の間に海賊たちを切り伏せたそうだよ。もちろん、女は無傷だった。そいつは島民でもなければ、海賊でもなく、海兵でもない、ただの旅人らしい。今は海賊から救ってくれたお礼にとその島に住まわせているそうだが、怪しむ声も少なくない。調べてくれって依頼があったのさ。鷹の目、あんた何か思い当たる人物はいないかい?」

ミホークは世界一の大剣豪と謳われる立場故に、その座を狙い挑んでくる者が多い。
つるはその中に、今話題の女剣士はいなかったかと聞いているのだ。
一度でも、海賊の一団を一瞬で切り伏せる実力の剣士と刃を交えていたならば記憶に残っているはずだが、残念ながらミホークの頭にその姿は思い浮かばなかった。
その旨つるに伝えると、「そうかい」と一言呟き、にやりと口元を歪ませた。

「通報があったからには、海軍として一度本人に話を聞く必要があるのさ。鷹の目、あんたも来るかい?七武海として、同行してもらえるとこちらも心強いんだけどね」

ミホークの回答は否だった。
辺鄙な島の女剣士など、ミホークにはさして興味はなかった。

「あぁ、そういえば。その女、おもしろい呼ばれ方をしていたね」

話は済んだとばかりに立ち去ろうとするミホークの背に、つるの声が届く。

「華奢な身体に美しい白髪、美しい顔立ち、美しい銀の瞳。それに似つかわしくない血に濡れた大剣。

まさに、銀眼の魔女だ・・・ってね」


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