第11章 つくばねの… 〔三日月宗近/R18〕
新しい審神者が本丸に配属された時、まだその審神者は少女の年齢だった。
「みかづき…むね、ちか…?」
俺の名を疑問符で呼ぶ少女に、俺は微笑んで言う。
「ああ。むねちか、と呼んで良いぞ」
「むねちか」
そう言って娘はにっこりと俺に笑顔を見せた。
満面の何も疑わないその笑顔を守ってやりたい、そんな風に思う娘だった。
娘は俺に常にまつわりつき、「むねちか」「むねちか」と呼んで離れず、一人寝の寂しい時は添い寝もする程だった。
俺たちにとって時の過ぎるのは一瞬。
だが人間の審神者である娘には、じゅうぶんなおんなとしての成長をうかがわせる。
少しずつ少女は背が伸び、からだもただ上から下まですとんと細いだけが、細いなりに柔らかな肉が付き出し、気が付いた時には優しい曲線を描くからだつきになっていた。
そう、気が付くと、少女はすっかり娘と変化して俺の前にいた。
「今日の遠征は…で良いでしょうか?」
審神者の娘こと雅はそう言って、名前を書いた紙から顔をあげ近侍である俺を見る。
俺は雅の決める事に異論は無く、その紙を了解したともらい、連中に遠征を告げに行く。