第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕
前回は肥前が初めて空を飛ぶので慎重に操作していたフロイドだが、二回目だからと本来のほうきの操作方法で浮き上がったのだった。
「…っ」
焦った声を喉の奥で漏らした肥前だったが、フロイドはそれに気付かないのかわざとなのか「ひゃっほぅ」と軽く叫んで浮き上がり、レオナとラギーがその様子を見てほうきを操作して違う方向へ飛んだ。
「マジフト部についてこられるっスか?」
ラギーが挑発するように言い、フロイドはぺろりと舌なめずりする。
「言ってくれるじゃん。タチウオくん、しっかり掴まってなよ」
ぐぅんと音が出るような勢いでフロイドはほうきをラギーへ向けて進ませる。
ラギーはそれを見て慌てて違う方向へ動かすものの、フロイドもスピードをつけて突っ込んでくる。
間一髪でそれを避けたラギーは叫ぶように言う。
「フロイドくん、危ないっス!」
「なぁに言ってるの?そっちから仕掛けてきたんじゃん」
ラギーにまたまっすぐ突っ込んできたフロイドのほうきに、ラギーはレオナへ向かってほうきを動かした。
「あっ、ラギー、こっち来んな」
レオナは気付いてラギーから離れようとするが、ラギーはレオナを追い掛ける。
そしてその後ろにフロイドがつき、三人が同じ方向へ追い掛っこをしているという、傍から見るとマジフトのフォーメーションの練習を三人でしていたのか思われた上、レオナの姿が珍しいと遠目でマジカメに挙げられていた。