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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕


「えー、なに、それぇ」

ぶぅぶぅ文句を言うフロイドに、ジェイドが横から口を挟む。

「フロイド、あなたが好きに組んで良い、と答えたからこうなったのでしょう。しかたありませんよ」

「なんだよ、ジェイド。アズールの味方かよ」

むくれるフロイドにジェイドが微笑みながらしれっと言う。

「そうです、今回はフロイド、あなたの言葉が足りなかったのですよ」

その態度にフロイドは、アズールやジェイドにこれ以上何か言ってもはぐらかされるのがわかり、無言で飴を口に入ればりばり噛み砕き始めた。

休みのないモストロ・ラウンジの仕事をさぼってしまいたかったフロイドだが、アズールがよく見張っていて逃げられず、肥前と空中散歩が出来ない一週間だった。



ようやく休みの入った日、フロイドは食堂で肥前を捕まえる。

「タチウオくん、みーつけたっ」

「…フロイド、なんだ?」

肥前から名前を呼ばれ、フロイドは機嫌が益々良くなる。

「今日、オレ、休みなんだぁ。一緒にほうきに乗ろ?」

「…乗る」

ぼそりと賛同した肥前にフロイドは喜ぶ。

「よし、決まりぃ。また前と同じところにおいで。忘れんなよ?」

最後の「忘れんなよ」にドスが入って、肥前の周囲の生徒たちは震えあがるものの、普段のフロイドの暴れぷりをしらない肥前は、いつも通り平然とした表情で応じた。
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