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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第4章 白竜の彫師


 言い返そうとして、は「お茶が入ったよ」と話の腰を折ったマリーアに完全に気をそらされた。

「ほら、おやつにしよう。みたらし団子とはセンスがいいね。この店はみたらしが一番うまい」
「やっぱり? 一番おいしそうな匂いがしたの」

 さっきまでのふてぶてしい態度もどこへやら、はもう上機嫌だ。

「サギィの分もあるからね」
「あとで食べるよ、ありがとう」

 仕事中のサギィは丁重に断る。

「キャプテンは?」
「この状態じゃ動けない」

 サギィに施術されているローは答えた。

「食べさせてあげるよ?」

 無言になったローを見て、サギィは吹き出した。

「いま想像したでしょ」
「してない。まだケンカの気分だったからびっくりしただけだ」
「食べさせてもらって仲直りすればいいのに」
「そういうんじゃない。、いい! 持ってくるな!」

 席に戻ったは不満顔だ。

「甘い物食べれば痛いのも紛れるかと思ったのに」
「ああそれは、いい考えかもしれないねぇ」

 明らかに面白がっているマリーアのことは無視することに決めて、ローは作業途中の自分の刺青を見下ろした。

(なんか物足りねぇな……?)

 ローの表情に気づいて、サギィは「何か不満がある?」と尋ねた。

「デザインを変えたくなったとか」
「いや、これはこのままでいい。……指にも彫れるか?」
「彫れるけど、指はけっこう痛いよ」
「痛みは別にいい。全部の指に彫りたい」

 熱心にデザインについて話し始めた二人を見ながら、マリーアは「船長さんは凝り性だねぇ」とつぶやいた。

「そうかな?」

 熱心にみたらし団子と昆布茶の組み合わせを堪能していたが首を傾げる。
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