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理由【ヒロアカ】

第5章 理由その5



(…教師? 先生…って転職とかでするものだっけ?)
首を傾げた私に気付き、マイトさんはまた苦笑した。
「前職も継続してるんだ」
二束の草鞋さ、と笑う。
「ふーん、何?」
「ヒーロー」
「!?」

さらりと言われ、私の目が見開かれた。
微笑みながらそう言うマイトさんだけれど、嘘や冗談を言っているようには見えない。
(…ヒーロー? マイトさんが?)
この痩せた彼が、ヒーロー??? 俄かには信じられず返事も出来ないでいると「ま、それは置いといて」と言った彼の微笑が消える。
「。今日は君に話があって呼び出したんだ」
「話?」
マイトさんの雰囲気が変わった。
その目が、眼下の冬の海よりも寒々しく、そして悲しそうになったのは気のせいだろうか。

「、キミは私に隠し事をしているね」
「隠し事?」
すぐには返事が出来ずマイトさんの言葉だけを繰り返したが、それが不満なのかマイトさんは一歩だけ私に向かって足を踏み出す。
「どうしたのマイトさん」
何が何だか分からなかった。軽い女だと責められるのかと一瞬思っていたので、予想外の言葉に私がうろたえる。
一瞬体を引いた私に気付いたのか、マイトさんはハッとしたように構えそれから肩を落とした。

「怯えさせてしまって申し訳ない。…でもこれだけははっきりさせたいんだ」
「…マイトさん?」
「答えてくれ、。君は…ヴィランなんだろう?」
「…!!」

先程マイトさんが自分がヒーローだと言った時以上に、私は驚いていた。
まさかマイトさんにバレるとは思っていなかった。返事をしない私に、それが肯定の証だと思ったのだろう。マイトさんは大きく溜息を吐いた。
「…先日君と、その…泊まった時ね? あの時気付いたんだ」
「どうして」
聞き返す私から視線を逸らしつつ、マイトさんは呟く。

「見覚えのある目印があったんだ。それから後は個人的に調べさせて貰ったよ」
「目印…」
「君は肩に印があるだろ」
そのほくろ、とマイトさんが呟く。確かに私の肩には特徴的なほくろがある。
「でも…そんな事で」
その特徴を出して挑戦的に振舞った事もあった。
いや今はそんな事はどうでもいい。頭を軽く振り目を細めてマイトさんを見返す。
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