第2章 プロローグ
私立、百花王学園 ────、
創立122年を迎える伝統と格式を誇る学園。
『はぁ……、はぁっ……』
「はぁっ……、はぁ……、」
私の手は3が3枚に8が2枚の……、フルハウス。
この手ならいける……っ!
もう、後戻りは……、できないんだから……!
ここで勝負するしかないっ!!
『ショウダウン……!フルハウスっ……!!』
「(バァ〜カッ!!)ふふっ……!」
芽亜里はほくそ笑むとトランプをテーブルに叩きつけた。
「ざァ〜んねんッ!!お疲れ様でしたァ〜っ♡」
『……ッ⁈』
フルハウスの涼子に対して芽亜里の手は10〜Aのストレート、かつフラッシュ。
『ろっ……、ロイヤルストレートフラッシュ……⁈』
そ、そんな……。馬鹿な……っ
私の……、負け……?
芽亜里は唖然とする涼子の頬にその綺麗な指をするりと這わせた。
「色々大変だろうけどさ?これから頑張ってねぇ〜っ♡……、私の"ミ ケ"?」
この日、私は人ではなくなった。
それが学園の"ルール"
全てを決めるのは"金"
そして─────、
"ギャンブルの強さ"だ。
「はい、ストレート」
「げっ……。また早乙女の勝ちかよ……」
「さっすが芽亜里ちゃん、強すぎ〜!」
「きゃはははっ!今日は調子良くないんだけどねぇ〜?」
『……っ』
私は…………、
"家畜"だ。
一度落ちたら、再び這い上がるのは不可能……、
そう思っていた。
──────、彼女が来るまでは。