第7章 愛染国俊
愛染「なあなあ主さん。俺さ、思ってた事があるんだ」
しん、と静まり返った室内で小さくも明るい笑みを浮かべる姿。
彼が笑顔を向けている先に居る彼女は、その表情を見上げて弱々しく微笑む。
主「なあに?」
愛染「祭、行ってみたいって言ってただろ?」
祭好きな愛染と、祭に行ってみたい。そう、彼女はよく口にしていた。
愛染もまた、彼女と共に祭に行きたいと思っていた。
長谷部に相談し刀剣達の尽力もあって、本丸内にかなりの小規模だが祭によく立ち並ぶ屋台を作り提灯などの飾り付けもした。
りんご飴、たこ焼き、射的、わたあめ…等の屋台をそれぞれの刀剣男士が開いていた。
年老いて弱り、立って歩く事も困難になってしまった審神者。
主「お祭り…行けたらどんなに素敵かしら…」
愛染「行こうぜ、主さん。行こう!」
愛染の言葉を聞いて、寂しげに眉を下げる審神者。すると、蛍丸と明石が車椅子を引いて審神者部屋に訪れた。
蛍丸「じゃあ俺達が連れて行ってあげるよ」
明石「愛染国俊、これやったら問題あらへんやろ?」
審神者は驚き目を丸くする。
すると、蛍丸が彼女をひょいっと抱き上げた。