第3章 鶴丸国永
ずっとこの幸せが続くと思っていた。
人と付喪神の違い等忘れ、いつも通りに驚きという名の悪戯を仕掛ける。
三日月「ほう、落とし穴か。して、此度は誰に仕掛けるのだ?」
鶴丸「誰って…主に決まってるじゃないか」
鶴丸が不思議そうに言葉を返すと、三日月は眉を下げて苦笑いを零す。
広間の扉を開けたと同時に水が落ちてくるという、瓶を使った悪戯を仕掛ける。
燭台切「おや、鶴さん。こんな所で何して…!?」
しかし、引っ掛かるのはいつも…彼女では無かった。
夜になると決まって審神者部屋に赴き、彼女にひたすらに話し掛ける。
鶴丸「主聞いてくれ、今日は君に驚きを仕掛けたんだ。落とし穴に水瓶の仕掛け…まあ、落とし穴は長谷部、水瓶の仕掛けは光坊が掛かってしまったんだがな」
返事は返って来ない。
鶴丸は、まるで彼女と話しているかの様に終始笑顔で語り掛ける。
鶴丸「明日の夕餉の献立聞いたか?オムライスだそうだ、君も明日こそは一緒に食べるだろ?」
語り掛けては返って来ない彼女の返答を待ち、暫くの沈黙が流れる。